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彦坂尚嘉『逆転する文明の教師・ケイト:2』(額装)

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作者:彦坂尚嘉
素材:顔料インクジェットプリント・EPSON写真用紙クリスピア・生成AI+画像加工
サイズ:420×297mm(シート)
*直筆サイン入り
*簡易額装
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*作品解説

『天地逆転する文明の教師』

本作品は、「生成AI」つまり人工知能技術を使った絵画作品です。
一般に「AIアート」と呼ばれるこの技術は、AIが勝手にオリジナルの絵を生成してくれるのですから、多くのアーティストに嫌われています。
しかし私はあえて新しい技術である生成AIを利用して、私自身の作品を作るのです。

私はアーティストとして多様な手法による作品を制作していますが、コンピューターの導入も早く、まず1989年の「ユーロパリア・ジャパン」に、初期のAdobe Illustratorを利用した作品を出品しているのです。
また1994年に「ファーレ立川アート」のために作った鉄彫刻にもコンピューターが使われていますが、これはJR立川駅北口エリアで今も見ることができます。
またインターネットの情報発信も早くから始めて、FacebookやYouTubeなどは今も精力的に続けています。

そもそも私がコンピューターやインターネットなどに興味を持ったのは、小学一年生から高校三年まで日展系の先生から油絵を教わっていて、日本の官僚的な美術に飽きていたからです。
ですから私はコンピューターや生成AIが良いと思っているのではなく、保守的で官僚的な人間の臆病さの外に出たかったのです。
だからと言って、私は伝統的な日本美術が好きであり、その意味で右翼とも思われるような美意識を持っています。
つまり普通の人から見ると錯綜しているアーティストなのです。

本作品のテーマは「観客論」です。
私はこれまでアーティストの立場からの「作家論」として作品を制作してきましたが、これを天地逆転したのです。
この観客論による美術作品としてお手本にしたのは、一つはモランディの静物画です。
もう一つのお手本はアンディ・ウォーホールの『キャンベルスープ』です。
そして、村上隆の『ニルヴァーナ』という商品絵画です。
これらの作品は、同じ絵柄が繰り返しながら微妙に変化しているところに共通点があります。

18世紀半ばの産業革命に始まる近代は、同一の製品が大量に生産される時代でした。新即物主義であって、全く同じものの量産でした。そこには物があったのです。 
ところが脱・近代の情報化社会の生成AIの量産は、同じはずのものが、一つ一つ違っていて、植物の葉の増殖のように変貌し続けるのです。植物の葉っぱが、同じようなフォルムなのに、微妙に違っていているように、微妙な変化で変わって行く生成AIの図形は、自然のように有機的なのです。    

彦坂尚嘉

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